LittleBear Communication Disorder's

発達障害者の適当な日々の考察と日記

虚空の旅人 感想

何ページだったか忘れてしまったんだけれど、政治は、人の義務感を逆手にとって利用する、という感じの文章があって、そうだよなぁと思ったり。「働かざるもの食うべからず」的なあるいは同型の強い労働観念によって弱音を吐き膝をつくことを許されない。それは「そうせねばならない」という自分が自分に向ける内面化されたルールになっている。

発達障害者が「一般枠で働きたいんですけど無理だって言われるんですけど、どうにかならないんでしょうか」「いつになったら作業所から出て一般の職場で云々」ってことを延々と主張していたことがあって、その人って、私は無理しなきゃ良いのに、と思うような感じの人なんですよ。職員からも許可が出ないらしくて。でも拘ってるんですよね。政治が障害者も老人もニートも働けるとか、一億層活躍とか女性の管理職とか言うんで、中には「そうしなければならない!」とか鵜呑みにしちゃう人がいるんですよ。

特に馬鹿正直な建前と本音が分からない人がね…。ウィリアムズ症候群の類型の人なんかは多分、人の言葉の裏なんて読めないので建前を本気に受け取るわけですよ。すると例えば「新卒は最低3年は会社にしがみついて働かなければいけない」的な論理をブラック企業でも貫こうとするわけです。その結果、少なからず死んでると思うわけですが。

そういうのが私が思う「政治が義務感を植え付けて人に都合よく動いて貰おうとする」という部分。ウィリアムズ症候群発達障害は多分、近いんですよね。知的障害もそうだけど、幼稚さというのは素直さであり馬鹿正直、生真面目さというのは頭でっかちであり、言葉を真に受ける傾向がある。「友達100人」とか「みんな仲良く」とか「いじめはいけない」とかね。普通の子は「いじめに巻き込まれたくない」という気持ちから関わらないようにしようと思うんだけど、私は「いじめるな」といって自分も巻き込まれるタイプ。『3月のライオン』の次女の感じですね。多くの読者は表向きどうか分からないけど自業自得と思うだろう。遠目に見ているのが賢いと。

じゃあ、みんながその正しいことをするとどうなるのか?というと社会はどんどん弱者に厳しくなるだろうな、と思うわけですよ。権力や暴力に跪くのが賢い生き方だから。権力(暴力)者にとっては誰も歯向かわない都合が良い世界。だから弱音を吐ける世界って言うのは私はそれは良い方向だと思うんですよね。引きこもりやニートとか。私にはそういう人達が必要だと思う。そうでない人でも彼らがいるから間接的に自分の弱さが認められて慰めになるんで。そういう人達がいることで一部は明らかにホッとしてるんじゃないかな。弱者ってのは多様性を作り出す素みたいなものだしリアリティの輪郭を描いてくれるので。社会に足りない部分を濃い影として映してたりするわけで。

要は怪我をした時に痛いって言うような信号ですよね。そういう感覚が無くなったらどうなるか、という話なので。無痛症になるでしょ。歯が砕けるまで噛み絞めたりね…。弱者って言われる人たちは、そういう警告鳴らしてるんだと思うんですよね。自殺とか。生贄ですけどね。ある意味、私の代わりに死んでるんですよ、それって。だから、そういう痛みに対して犠牲者をできる限り助けよう、って話であって。

政治と個人の話だけど、政治が個人の痛みを無視し続けるっていうのは、歯痛を無視し続けるのと同じだと思う。人間っていう全体の中で悲鳴をあげてる箇所があるわけで最終的に無視し続けるってことは、その部分って壊死するんじゃないの?って話。自分のことだけしか考えないっていうのは頭隠して尻隠さずみたいなね…。虫歯が死に繋がったり、癌が転移して死んだりとか。対処療法にするか予防医学にするか…。

虚空の旅人はここまでの「守り手」シリーズで一番よく書けてたと思う。カリーナ姫とタルサン王子は対極で、チャグムはその間って感じでしたね。チャグムはタルサンを幼いと言ったけれど、タルサンに忠誠を誓う兵と、国に忠誠を誓う兵だったら、前者の方が信用できると思う。後者は国への考えの違いとかで反乱軍とか出てきそうじゃないですか(´・ω・`)