ダージュの意味は
1 葬送のとき、柩(ひつぎ)を載せた車をひく人たちがうたう歌。また、人の死を悼んで作る詩歌。哀悼歌。
2 万葉集で、雑歌(ぞうか)・相聞(そうもん)とともに三大部立ての一。辞世や人の死に関するものなどを含む。古今集以後の哀傷歌にあたる。
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であるらしい。
だから、ダージュの調律は「哀悼歌を整えること」の意になるかも。
他に「サフランダージュ」というワインのブドウの用語があり、そちらは結実不良という意味になる。主人公ダージュは弟セインツに劣等する存在として描かれているので、こちらの意味でも通じるかもしれない。
ストーリー的にはセインツの葬送曲になるのかもしれないが。
テーマは何かと共感しやすい。キャラの造形も最初は抵抗があるが、抽象的で想像力を刺激される気がする。
私が読んでいないだけかもしれないが、エンディング後、銀の鉱山はどうなるのだろう。一つ装備が足りないので観れない部分があるのかもしれないが…。
兄弟が比較されて育った結果が悪いものになりやすい、というのは良く知られたところだと思う。ダージュも同じくセインツに劣等感を感じて育ってきたようである。そして自分が兄貴なんだから!ということにプライドを持ってしまっているのは自らの首を絞めているように感じた。
一番、兄弟を比較してしまうのは他でも無いダージュ自身であろう。セインツが死に「手紙を読むことで漸く弟を認めることが出来る」と解釈して良いのなら、生きている間に和解することは無理だったのかもしれない。それは単にダージュが愚かだからである。そして、それはリアリティがあると思う。あるいは熊に出会わなければ和解ルートもあった気もする。
ダージュが熊に挑むところは私から見ると「非常に拗らせてるな…」と思う訳で。ゲームらしく勝ててしまう訳だが、普通は勝てずに蛮勇と言われる行動である。ダージュはニートで厨二病だろう…(汗)そういう意味でダージュは終始特に内面的には前に進めたとか変われたとかいう訳では無い気がする。
それでも最終的にはサイレントにハンカチを返せている辺り、進展はあり、無駄な行動では無かったんだろうな~と思う。ただ、どうにも「セインツという喉に刺さった骨が取れたから外に出れるようになった」という風に見えてしまうのが残念かな。熊を倒すことで払拭するにしても、そんな己の内面を隠すためとか不純に見えてしまうし。
要は「セインツがいなければ俺はもっと評価されて良かったんだ」という風に見えなくもない。
逆に素直に見れば「弟のことは僕が誤解していた。なんて馬鹿なんだ。せめて無謀でも命をかけて熊に一矢報いねば気が済まない」という風に見える気もする。ダージュは割と結果を考えて行動出来ないところがある。
まぁ、ダージュだけでなく登場人物が誰も彼も(セインツの周囲の女性とか特に)微妙に碌でも無いところがあるのでダージュに感情移入しやすいのかもしれない。ダージュはエヴァの碇シンジみたいなところがあると思う。周りがアスカとかレイだから消去法的にまだマシな気がするという…(苦笑)
セインツはダージュ視点だと、死ぬ直前までダージュを馬鹿にしているのかも?という疑念が晴れない。「馬鹿だなぁ。兄貴は…」という台詞はダージュを貶しているのか、ダージュの誤解を悲しんでいるのか、どちらとも取れ、演出も不穏である。
他人称のシーンが入ってプレイヤーはセインツが善良だと思わされるが、ダージュはそうではない。相手の真意を測ることは難しいだろう。ましてや自分の劣等感の根底なのだから。
だから、セインツの死が一つの契機になるのは私としては「ちょっと嫌だな~」と思ってしまう。飲酒事故を起こして友人を失った青年が之を期に真面目になります!という感じで。
普通にストーリー的に「弟の仇を討つまでの兄の話」として読めば良いのだろうけどね。
夢の世界が象徴的に使われていて良かったし、演出も優れていた。「ゆめにっき」くらいに行くと私は付いて行けない世界だが、ダージュの調律の独特の世界観は気に入るものだった。
最後に、強面の冒険者?だったかな…は悪気は無いと語られていたが、どうみても悪意に満ちてましたよ…。まぁ、悪気なくやってしまえるのが最悪だと思ってるんで、最悪な人なんだと思うんですが。最後、セインツの遺品をダージュに渡したからと言って、彼が改心したとか思うことは出来そうにない…(苦笑)