行動が自然でストレスが無いこと、が理想。
何をやっても上手くいかないという状況では、次第に萎縮する。
行動自体が石橋を叩いて渡るような心理的圧力を受けなければならなくなる。
そんな状況に逐一生きることは耐え難い。
何をやっても上手くいかないことが多い私にとって、
何をやってもやってみれば上手くいくことが多いという状況は夢か天国のようなものである。
何でも要領良くやってしまえる人というのは多いし、私から見れば大抵の人はそうである。
要はADHDを持つ人からいえば、持たない健常者はそれなりに何をやっても上手くやれる人々である。
そして、その世界は私にとって理想郷のようなものだろう。
頑張れば他人と歩調くらいは合わせられる…というのは。私は頑張って尚、適当に頑張る人に劣るという有様だった。
周りの人たちはジョギングで軽く汗を流す程度のことを私は全力疾走でやらなければ追いつけもしない（それでも追いつけない）という感じである。そもそも私には全力疾走を毎日毎時間する気力も無い。それをもって周りと合わせる気が無いんでしょう、と詰問されても困る。大抵の人は自分の力量の範囲内でやれることをやる。私もそうしたいが無いのである。
だから、多くの人たちにとって簡単にしてしまえることが自分にもできたらどんなに良いだろう、ということを夢に見て、そのストレスの無さに感動してしまった。
まぁ、本当に問題となってくるのは、不細工な人が化粧なんかしても仕方が無い、とか化粧自体に忌避感を感じるように、行為自体に何かそれを咎められるような印象を自ら抱いて、それをやらねばならない、できない、という風になることだろう。手術をミスした医者が再びメスを持つと手が震えて本来要らぬプレッシャーを自らに与え失敗の確率を上げてしまうように。
私のコミュ障も要らぬフラッシュバック的な不安や恐怖を自らに与え挙動不審にさせ失敗の確率を上げる。勿論、それが無くても次第に敬遠されるから、上手く付き合えないだろう、という予想は何れにせよ当たるわけだが。関わりたくないと思うのは、どちらかというと、そうした苦い経験のフラッシュバックに遭いたく無いのである。回避しろ、という脳の警告だろう。
そうだとして、その警告を無視して進むことが馬鹿げていて苦痛なのは当然である。そして、この信号を無視し続けること自体は私には問題があるように感じられる。上手くいく手段を講じるのでなく、強引に信号を無視し続けろ、我慢しろ、慣れろ、というのは無茶だろう。
PTSDに対する暴露療法はそんな感じである。じゃあEMDRとどう違うか。記憶と対決・克服させるのではなく、記憶の中の不安や恐怖に触れてもそれ自体では酷い目に遭うわけじゃない、という自覚体験を繰り返すことが有効なのだろう。交通事故やレイプ、戦争など遭遇確率の低い非日常的な問題であれば「もう起こらない」と言える。
但し、EMDRで記憶を癒せても、日常的にその人にとって苦痛な体験が現実に起こる環境にいれば、意味は無いだろう。繰り返す度に脆弱になると思う。
暴露療法は部分的には効果があるだろう。けれど方法の前提が間違っていることがあるんじゃないか。記憶と戦って打ち勝つというようなイメージは無意味だろう。心理的には警戒と安心が重要な部分だと思う。EMDRの場合、警戒→安心に段階を落としているのだと考える。記憶を見るのが怖いという患者に、記憶は見ても問題は起こらないのだ、という安心が多分肝心な部分だろう。まぁ、それが迷信に過ぎないのなら。
精神科医には治療に限界がある。発達障害は家族療法が有効だと言われるが、それは何故かというと、大抵、家族との間に問題を抱えているからである。家族との間の問題が軽減したり良くなれば、その問題で苦しめられることは減るだろう。
例えば、働く能力が低くて他人から虐められる、結果、鬱になっているのだとしたら、その虐められる環境を変えなければ病気の治療をしたところで無駄だろう。じゃあ精神科医がそこに介入する権限を持ってるのか、というと微妙である。精神科医側からすると無力感を感じるだろう。薬を飲んでこないから治らない患者みたいなもので。何というか、生活環境や労働環境に介入して患者が被害に遭わないようにコーディネートしてくれる第三者が必要なのだろう。精神医療だけでは多くの精神疾患の問題は解決できない。社会環境が病気を生み出しているからである。
そこまで踏み込めないから…ということを医師が分かっている場合は良いが、分かっていない場合、何でもロボトミーとか脳を弄ればなんとかなる、とか考えている人間がいそうだなと思う。私はそれって人権侵害じゃないの？って思うんですが…。心（精神）を物理で捻じ曲げられてるわけですからね…。無能な政治家の頭にも論理回路を埋め込むと良いと思うけど…。
