LittleBear Communication Disorder's

発達障害者の趣味と考察と日記を適当に

オルフェンズ 3話の感想

強くなけりゃ生きられないんだ。

と、何というか貧困な社会の現実を描いてる感じですね。黒人ゲットーの暴力の構造みたいな話で。『アクトオブキリング』という映画があるんですけど、そういうのを思い出す。まぁ、注意すべきなのは「弱肉強食が正しい」と思っちゃいけないということだろう。

 

あくまでも『オルフェンズ』は無秩序な混沌とした社会(に生きる人間)を描いてると考えた方が良いだろう。それは不安定な混乱であり、安定した秩序ある状態とは逆の世界・環境だ。要は『フルメタル・パニック』の中東世界を舞台にしてるようなものだろう。

 

私は今のシリアの紛争とか、そうした世界情勢の影響を受けた作品かな、と思う。まぁ特殊な環境に置かれた人間の生き方の話ですよ。湯浅さんとか傭兵業やりに行ってしまう人がたまにいるんですけど「そういう生き方こそ本当なんだ」と思う時期や状況があるんですね。だから『オルフェンズ』を見て、これが「本当の生き方」だとか思わないで欲しいんですが。

 

主人公たちは不幸な境遇に置かれていて、全く羨まれるべきでは無く、憐れまれるべき状況にいる。主人公の三日月が今後どう変化していくのか分からないが、普通、こういう世界に生まれ育つと後天的に正常になるというのは在り得ないと思う。だから、三日月のような人の人生は本質的に欠陥を抱え込むと思う。

 

『アクトオブキリング』で他人をもて遊んで殺していた人たちは、仮にそれが愚かな行為だったと気づいたとして、笑いながら人を殺していた自分と今の自分とを擦り合わせることができず、不全感を抱えて生きざるを得ないと思う。少年Aを考えるなら彼は今も殺人が感情的に忌避される行為だという自覚に欠けているかもしれない。刑務所で酷い目に遭うからダメだと思っているみたいな話を聞いたが…。実際、ナメクジを玩具にして遊んでいたしなぁ…。幼少時に失われた道徳感覚は取り戻せなければ奪われたままになると思う。更生は所詮、代替的な手段になる。視力が落ちたから眼鏡を掛けるとか、そういう。母語第二外国語みたいな関係だろう。

 

レ・ミゼラブル』みたいに何かの拍子で道徳性に目覚める話はあるし、『天使同盟』みたいな更生の話ってあるけど、その人の本質自体は変えようが無い部分はあると思う。幼少時に虐待に遭うと脳が縮小するなど不可逆的な変化を起こすらしいのだが…。脳が正しい反応を返せなくなるのだと思うが。そういうことで取り返しが付かないことってあると思ったり。麻薬中毒とか、アル中とかもそうだが。後からできることはせいぜい補うことでしかない。

 

私は更生というと、そういう話だよなぁ、と思う。三日月を更生させる話を期待したところで大分厳しいだろうな、と。年季がいってるので(苦笑)まぁ、物語に自然さを求めるなら三日月はあまり変化させない方が良いかな。そういう人のドラマとして描いた方が良い。あの世界で安定した文明よりの考えに寄せよう(平和主義)と思わない方がいいかな。

 

ただクーデリア(ヒロイン)は感じ方が不自然なので、物語の都合で主人公たちに擦り寄るように歪められてるんだな、と思うし、クーデリアが歪むのを許す物語なのだから三日月も物語の都合で歪めてしまえるだろう。

 

クーデリアの側からすると主人公サイドも血生臭いことをしているので早々受け入れがたいはずなんですけどね…。なぜ、三日月にそれで好意が持てるのか、という話になる。殺人を忌避する文化人なら殺人者に対しても「必要と分かっていても」引いてしまうのが普通だと思う。そんな簡単に受け入れられたら米兵はPTSDにならないよ、と。

 

それと1軍のリーダーを射殺したシーンはショッキングだった。夕方のアニメで見せるシーンじゃ無いですね。子供が食事しながら見てたりするわけじゃないですか…(by北の国から)。おっさん(クランク)の死は直接的な描写では無かったのに、生々し過ぎる。

 

良い人と悪い人で対応が変わるんですかね…(´・ω・`)「ざまあ」的な。そうだったらマイナス評価だな…。悪い奴だから残酷な死に方しても自業自得、みたいのは教育に良くない。発砲音と返り血だけで良かったんじゃ…。

 

まぁ、三日月は誰でも即死させてるので手段自体は平等に優しい?ですけどね。少なくとも暴力に快楽を得ていたり、相手を苦しませることに価値を置いているわけでは無いというのが見て取れる。ただ、拷問しろ、と言われたらきっとやる子ですよ…。だから、それが必ずしも「だから良い主人公ですよね」とはならない。慈悲で殺してるわけじゃなく、ただ殺す必要があるから殺してるという淡々とした感じ。まぁ、感情移入できない系の主人公な気がするけど…。