人はなぜやらかしてしまうのか…
私は時々、乱暴したくなったり、身体が不随意に動こうとしたり、ということがある。そういう自分を引き止める自分がいて、引っ込みが付くのである。
心のままに動いたとしたら私はとんでもないことをしてしまうだろう。そういう意味では思い浮かべただけで機械が応答してくれるシステム、というのは、人の意識＝意志という前提があるように思えるが、人は心の中で「ファック」と叫びながらニコニコして仕事していたりするものである。
心の中の言葉を投影出来る機械なんてものが出たとしたら私は直ぐに独房入りになるかもしれない。といっても他の人達も大概酷いことを考えているということが明らかになると思う。
自分の気持ち、というものを大切にした場合、犯罪が起こるケースがあるように思える。どうしても○○したかった、という犯罪者がいたとする。彼は自分の意志に則って犯行を犯すわけだが。恐らく、自分の意志に純粋な人ほど、それを自分の「総意」だと考えて犯罪を犯してしまう、というケースがあるのだと思う。
自分の気持を大切にしよう、ということはよく聞かれるかもしれないが、私はそれを間に受けるものではないように思う。食べたいから食べる、したいからする、そういう欲求に正直になるほど、人は道を踏み外す。痩せたいという希望と食べたいという欲求がある時に後者に行ってしまう人は自分の感情に正直だと言えるが、客観的にみて自制が利いてない人である。大抵の人は食べすぎないように自分をコントロールしている。
この希望に合わせて自分をコントロールしている状態が望ましいと思う。自分を律するというが。
目の前の人物を衝動的に殴ってやりたい、と思って、手が出てしまうのは自分の気持に正直なのかもしれないが、するべきではない行為に手を染めてしまう考え方である。
私等も不意にそういう衝動が湧くことがあるけれども、それは自分の意志というより、無責任な意識の流出…という風に考えた方が良いように思う。その瞬間の気持ちというものはツイッターで流れる無責任なレスのようなもので、そこに脊髄反射的に釣られてしまう、というのは自分の意志であるとか思考の結果であるとは言えない。
自分が本当はどうしたいのか、ということは気分的ではなく客観的に考えていかねばならない。意識や時々のふとした考えというものは、自動的に流れるログのようなものだと考えた方が良いのでは無いかと思う。
良識に溢れた人格者なんて人はなかなか希少であり、殆どの人は時々の意に反して自分を律して道徳に沿うような言動をしている、というのが私の考えである。この考えと遂になっているのは、動物のように自然にしたくなったことをして生き、それで良く生きられるという考え方である。性善説的な考えと言おうか。
純粋な人には悪意など無いのだ、という考え方である。しかしながら、実態は私達の頭の中には天使や悪魔がいるものの、しかしながら自分に良識があることを社会から期待されていて、本当は全部ぶち壊しにしたいような衝動を感じることがあっても、それを表に出さず、社会的な善意で対応しようと自分を律している、というのが普通の人間なのでは無いだろうか。
「自然にしたくなったことをする」というのは一見憧れるような生き方に見えるが、結果としてダイエット出来ない人とか、すぐ切れる人とか、酒や煙草がやめられない人とか「自分の欲求に正直で結果として悪いことをしてしまう」人物になってしまうものの考え方のように思われる。
玉石混交の意識の奔流の中で自ら選り分けていかないとならないのだと思う。自分の内面というのは身勝手なツイートやまとめ記事のレスのようなもので、十分に吟味されたものではない、ということを第一に考えに置いておくのが良いと思われる。
濁流のような意識と汲み取られた意志によって人間は行動しており、IQが低い程、前者に偏りがちになる。しかしながら、そのことは大抵の場合、周囲を無視する形の暴走のような形式で現れると思う。要するに問題行動になってしまうだろう。
知的障害者等の犯罪が多いのは、このことと無関係ではないように思われる。想像力が働くからこそ人は社会性を持って生きていけるのであり、想像力が無いということは自分の行いが社会的にどういうように波紋を広げるか、という考えが無く、一瞬の気持ちだけで動いてしまう、ということなのだろうと思う。
想像力を働かせるのは、自分の色々な思考を俯瞰した後のことだから、それ以前に行動してしまうようでは、想像力に欠けるという以前の問題なのだと言わざるを得ない。
それは思考以前の問題なのだと思う。故に考えが浅はかで想像力に欠けると考えられてしまうのであるが、そもそも「想像力を働かせる」という手順を抜いているのかもしれない。
